●ポーカーチップはデジタルになってしまう? LVRJから
プレイヤー達は、相互交流の環境が失われてしまうと言う。
数千人ものポーカープレイヤーがワールド・シリーズ・オブ・ポーカーのためにリオに集まった時、こおろぎの鳴き声が暑い夏の雰囲気を醸し出す音であるのと同じように、各々のポーカーチップの音が合わさり、会場を満たす。
200以上のテーブルで黒のベストを着たディーラーがプレイヤーにカードを配る。プレイヤー達はずるっぽく手のうちをのぞき込んだり、神経質なエネルギー発散するためにチップで遊んだり、テーブルの他のメンバーを騙したりする。
さて、ディーラーもチップもカードも無い高賭け金のポーカーを想像してみて下さい。 それはドラマチックなシーンであり、コインレス・マシンがカジノフロアを席巻したように、電子ポーカー・テーブルがポーカールームに取り入れられれば、現実になるかもしれない。
電子テーブルは、世界中の複数の領域ですでに使われており、ネバダ・ゲーミング・コミッションは、最近、機器製造会社にゲーミング界の中心地においてビジネスするライセンスを与えた。
「俺は嫌いだ。」フロリダのウエストンに住む48歳のマーク・ザンドは言った。彼は火曜日に行われたワールド・シリーズのメイン・エベントに参加した6358人のうちの一人だ。「コンピュータ化されたゲームを行うためにカジノへ行くくらいなら、自宅にいてオンラインでゲームをしたいね」
しかし、粘土でできたチップに対する純粋主義者の愛とディーラーと冗談を言いあうことは、カジノ側からすれば全能のドルに勝るものではないかもしれない。
PokerTek of Matthews, N.C.製造の電子ポーカー・テーブル(ポーカーテックのWEBサイト)を使うことは、ディーラーが不要になるというコスト削減のみならず、ゲームをスピードアップすることができ、これはカジノ側の取り分を増やすことにつながる。プレーヤーにとってもディーラーへのにチップが必要なくなる。
4ドルから8ドルリミットのホールデム・ゲームのある分析は、100ドルでゲームを始めて1時間経過した場合、1時間後普通のテーブルでゲームをしたプレイヤーよりエレクトリック・テーブルでゲームをしたプレイヤーの方が手持ち額が1.10ドル少ないと報告している。しかし、彼らは50パーセントもハンズを増やしており、それはより少ない金で多くのポーカーゲーム数をこなしていることを意味する。
ポーカーテック社は、速度と精度が郷愁(ノスタルジー)を打ち負かすことに賭けている。
「シフト・チェンジを要するディーラーは必要ない」ポーカーテックの広報担当トレイシー・イーガンは言った。「プレイヤーのミスは無いし、ディーラーのミスも無い。本当にエラー・フリーなんです。」ポーカーテックは、最近ネバダでビジネスを行うライセンスをとり、このポーカーテーブルをレギュレイター(制御委員)に認可させるようにしているところである。
会社は、カジノ・バージョンとして2人対戦および10人対戦のテーブルを提供する。2人対戦テーブルはバーのためのバージョンでもある。
10人対戦カジノバージョンは、プレーヤーごとの個別のタッチ・スクリーンと中央にコミュニティ・カード、プレーヤーテーブルの賭け金(stakes)と1回の賭け金(pot)を表示する40インチのフラットスクリーンを備える。
個別スクリーンは、各々のプレーヤーに自分自身のカードと全体のカードを表示する。
ライブ・ポーカーと同様に、カジノは、伏せ札(hole card)についてはまったく解っておらず、プレイヤーもフォールドした(降りた)後に見せる必要が無い。しかしながら電子機器は、アクションの記録を残しており、ぐる(共謀)だとかその他の主張に関する論争を解決することができる。とイーガンは言った。
ラスベガス・エリアで10のカジノを有するステーションカジノでポーカー、キノ、ビンゴを監督するウェルドン・ラッセルは、彼自身電子ものが好きだが、ライブ・ポーカーを完全に置き換えようとは考えていないと言った。「それらがポーカールームを席巻することはない。なぜなら、ディーラーはどうしても必要だから。」とラッセルは言った。
しかし、彼は、エレクトロニックバージョンはトーナメントにとって"素晴らしい"ことだと付け加えた。なぜなら、望んでいるどのような方法ででもそれらをセットすることができ、ディーラーを拘束しないからだ。「ポーカー文化において、エレクトロニック・テーブルが確固たる地位を築くのに、どれぐらいの時間がかかるか」を陳べるには早すぎると彼は言った。「それは今後の動向である」とラッセルは言った。「どれくらい先か?解らない。」
ポーカーテックによれば、そのテーブルはすでにフロリダ、オクラホマ、オーストラリア、ドイツ、イギリスで使われているそうだ。会社は、これから6ヶ月以内にはネバダでも使われるだろうと言う。ネバダには901のライブ・ポーカーのテーブルがあり、そのうち85%はクラーク郡にある。2006年には1億6400万ドルに達したポーカーにおける収益が使われるであろうとみているので、会社はネバダへの進出を望んでいる。
ネバダ・ゲーム・コントロール委員会の技術機器担当チーフであるトラビス・フォリーは、そのテーブルはゲーム機器と考えられ、それは委員会の承認が必要なことを意味する。しかし、それはスロット・マシンと異なり、テーブルゲームのように課税されるだろう。それは、州がカジノの賭場代の一定割合をとることを意味する。州は、スロットマシンからは機器ごとに一定割合の税金を取るとともに、収益にも課税するとフォリーは言った。
電子テーブルは1990年代から登場し始め、最近の技術進歩によって古いバージョンより精巧で実用的になっている。電子テーブルがラスベガスのグローバル・ゲーミング・エキスポの ようなインダストリー・トレード・ショーにおいて高い評価得ているということは、一般的に将来のゲームにおける先駆者であるということだ。「私には、電子テーブルがショーで結構人気があったように思えた。」とフォリーは最も最近のエキスポにおいて言った。「もし、それが"しるし" ならば、業界においてポピュラーになっていくだろう。」
しかし、伝統主義者達は、電子ポーカーは、カードやチップ、ディーラーを使うゲームよりも劣っていると言う。ワールド・シリーズ・オブ・ポーカーの出場者であるマイク・レイシーは、相手がどんなふうにカードやチップを取り扱うかを見て、その無意識の動作が、言葉を用いないシグナルによって、プレイヤーのもち札(ハンズ)の質についての情報を提供すると言う。「貴方は、プレイヤーのボタンの押し方を見て、言わんとすることを得ればよいと言うだろう。しかし、それはチップをかけるやり方とは同じではない。」とアイルランドのドロヘダからきたレイシー(36歳)は言った。
トーナメントに出場しているプレーヤーで、タバコを吸うためにレイシーに合流したデレク・ウィリアムズは、ディーラーがするのと同じようには、テーブルのモニターにおける機械を信用できないと言った。「プレイヤーは他のプレイヤーとグルになって話をしているかもしれない。」とアイルランドのダブリンからきた47歳のウィリアムズは言った。「ライブのゲームでそういうことが行われたら、ディーラーは止めさせる。」
モンテロのワールド・シリーズ・ディーラー、リンダ・デファツィオは、人間のディーラーは悪い手札を引いたプレイヤーにとっての便利なスケープゴートでもあると言った。機械を非難することは、ディーラーを呪うことと同じではないと34年間ディーラーをしてきたデファツィオは言った。「どうやって、機械をターゲットにするの?」と彼女は尋ねた。人間のディーラーと触れることができるカードとチップもポーカー・ゲームの雰囲気なのよと彼女は言った。そうは言っても、デファツィオは、ポーカープレイヤーの新しい世代は、オンラインでゲームを学んできたことを認めている。こういったプレイヤーは、電子ゲームという観念に不快感を感じそうではない。「新しい世界なのよ。私は古い世界の人間」デファツィオは言った。「マシンが導入される時になっても、たぶん私は私のやり方でやっているわ。」
何年か前からディーラーのいないルーレットテーブルをみかけるようになりましたが、いよいよそれがポーカーの世界にまで及ぼうとしているという記事です。
ライブ・ポーカーについては良くは知らないのですが、対戦者どおしの騙しあい(って、言葉が悪いかナ 笑)、神経戦というようなイメージがあります。それが上の画像(Pokertec社のWebサイトから転載しております。)のようなテーブルに座って、タッチモニターをピタピタ触れるなんて…(大汗) それなら、記事にもあったように、自分の部屋でPCを通じてオンラインで対戦したほうがいいような気がします。
電子化されたルーレット・テーブルが爆発的に増えないように、エレクトリック・ポーカーテーブルもポーカールーム一杯になるようなことは無いと思います。でも、カジノ側はコスト削減(ディーラーの人件費)のために、そろり、そろりと導入してくることになるんでしょうか?
昨日のLnny's Las Vegasではありませんが、カジノからどんどんスタッフが消えていく(少なくなっていく)傾向の一つなのかもしれません。